ひとそれぞれ

自然のこと

「ヒマラヤでもウラヤマでも」
日本を代表するテントメーカー「ARAITENT」社のウェブサイトに書かれている言葉。
なんだかいい響きだと、いつもウェブサイトを見る度に思う。

ヒマラヤでもウラヤマでも使えるということだとは思うのだが、僕にはヒマラヤを楽しんでもウラヤマを楽しんでもいいのだと感じるので、いつも見る度に和ませてくれる言葉である。
また多くの登山者に愛用される素晴らしいテントを開発した人たちの「ヒマラヤを目指す人もウラヤマを目指す人もリスペクトしよう」というような気持ちを勝手に想像するのであります。

アライテント社WEBSITE


ひとそれぞれ

僕は情けないほど人目が気になる人間だ。
人目を気にせず、自由気ままな人を見ると羨ましくなり「そうありたい」と思うのだが、なかなかそうもいかず。

それでも、田舎に住んで誰もいないような場所ばかりで遊んでいるうちに、そんなことを随分と気にしなくなった。
その証に腹が出た…
もちろん「カッコよくありたい」とは思っていないでもないが、気障な若いころと比べると随分怠け者になった。

気障だった僕を変えたのは俗にいう「最近の若い者」だ。僕はこの「最近の若い者」の考え方が大好きだ。

Millennials

僕は学が無いにも関わらず、なぜか運と人に恵まれ大企業に勤めていたことがある。
平成生まれが社会に出てきたときは、同僚の中でも「そんな時代になったか」などと意味のないボヤキをしていたことを思い出す。
そんな中で出会ったのが、僕には刺激の強すぎるY世代の若者だった。

当時の僕は26-7歳程度。
僕は出世欲が強かった訳ではないが、働く以上は営業部門でしっかりと成果を出そうとQuarter単位で出される営業成績を真面目に意識し、トップになれるかを非常に大きなストレスを感じながらも努力していた(何故なら稼ぎたいからであった)。
よく売るチームに在籍し、そのチームに新たに配属されたのがY世代の若者だった。

その若者は瞬く間に成績は断トツのトップ。
プライベートも波瀾万丈で、10代で世界を旅し民族楽器を趣味として演奏していた。
若いときに気張って渡米した僕と当時は馬が合い、サックスを吹いていた僕と民族楽器を吹いていた彼とでスタジオセッションをしたり、クラブでライブをしてみたり。
刺激的な若者にとても楽しい日々を過ごさせていただいた。


そんな若者が瞬く間に出世し、最年少でマネージャーになったかと思えば突如退社。
数えられるほどしか人が住んでいないような田舎に引っ越して、五右衛門風呂の生活を始めたのである。
僕はその若者に、沢山の考え方を教わった。

「自由であること」「働くこと」「社会のために考えること」「社会のために行動できる力」「可能性」「自分を知ること」

若者であるにも関わらずなんて全く思わない。
新鮮すぎる感覚にカルチャーショックを受けるくらいだ。

そんな若者も今では起業し、素晴らしい経営者になっている(はずだ)。
僕はそんな若者から「自分がやりたいこと」を考えることを教わった。『婚約指輪は給料の3か月分』なんてCMを見ながら育った時代の僕には十分すぎるほど良い教えだった。
「良く見える」を求めるより、クレイジーに見られても恥ずかしいと見られても、僕自身が「自分がやりたいこと」を考えるようになった。

僕も会社を辞めた。バンドも辞めた。価値観は「人それぞれ」でいいのだ。

遊びも暮らしも「人それぞれ」

「Diversity」
今では当たり前に聞くようになった言葉だが、遊びも暮らしも多様性に満ちて自由だ。
山を歩いていても多様性を感じる。

道具選びにおける「重装備」「軽い」「超軽い」や、1つのカテゴリにおいての専門性に長けた方、記録や未踏峰にチャレンジする方、色んな遊びを楽しむ方、一人で楽しむ方、仲間と楽しむ方。
色んな考え方やスタイルがあって非常に楽しい。そしてどんなスタイルで楽しんでいても素敵である。

過酷なことに挑戦していても素敵だし、肩の力の抜けた気楽な楽しみ方をしている方もまた素敵だ。
山を歩いていれば「毎日健康のために歩いている方」に出会うことがあれば、「初めてで息を切らしながら歩いている方」に出会って一緒に歩くこともある。
「トレーニングのために重い荷物を背負って歩いている方」に出会うことがあれば、「緊張でドキドキしている方」に出会うこともある。

海で波乗りの真似事をしていても、働いていても色んな方に出会う。全て素敵だ。


そんな今だからこそ、「遊びの趣味が合って、聴く音楽の趣味が合って、働き方が合って」などという色んなものが合う仲間に会うことよりも、「山は山の知り合い」「海は海の知り合い」「仕事は仕事の付き合い」となりがちだが、色んなものがしっくり来る仲間と、長く付き合うことが出来るといいなと思ったりもするのである。

そう考えると僕は結局「身勝手」なのかもしれない。

「ヒマラヤでもウラヤマでも」
たまにARAITENT社のWEBSITEを見ては、妄想にふけるのであります。